1on1 で何を話すか?
マネジメント系の記事を書くのってけっこう久しぶりなんですね。
【過去の】
- https://hatone-hr.hateblo.jp/entry/yamenai-saiyou
- https://hatone-hr.hateblo.jp/entry/what-needs-engineer-manager
- https://hatone-hr.hateblo.jp/entry/engineer-managers-log
私としてはリーダーをやってもらいたい方がいたので、
2月にリーダーのポジションはその信頼できる人に託し、
あとは困ったことがないか時々聞く隠居の身となったのですが、
1年やったまとめとして書いておきます。
でも基本的には、『ヤフーの1on1』を読むのが一番わかりやすいです(笑)
たまに読み直さないと忘れてしまうのですが、ここには大事なことが多く書かれています。
ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法
- 作者: 本間浩輔
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- 発売日: 2017/04/28
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以下は、私個人の考えを多く出しています。
『ヤフーの1on1』では 1on1 の目的を「部下の成長のため」と定義づけているので、
のっけから異なっています。
1. 1on1 はどうしてやるのか?
一言で言うと お悩み相談室 です。
お仕事に集中できるように、障害は私が取り除くよ! というわけですね。
マネージャーってチームに対しては奉仕種族でいるのがいいですね、たぶん。テケリ・リ、テケリ・リ。
でも、大事な問題があります。
あなたは悩みを相談するのに値する人なのでしょうか?
この問題を解決するために、あなたは「赤の他人」から
「信頼できる仕事仲間」にまでステップアップしなければいけません。
2. 日常会話をしよう
すごく簡単ですね。
「週末どうしてた?」みたいな。
これすら相手が言いよどむようなら、相手からの信用はまだ得られていないので、
お悩み相談どころではありません。
もっと相手のことを知って仲良くなりましょう。
と言ってもそれがけっこう難しかったり。
専門の書籍に頼りましょう……。(下記の本は読んだことありませんが評判良さそう)
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3. 相手の話をよく聞こう
会話に割り込むのやめましょう!
たまにそういう人いるので最初に……(笑)
1on1 に限りませんが、相手が永遠にとめどなく喋り続ける人でもない限り、
相手の言葉を切って話し出すのはやめましょう。
「人の話を聞かない人」という印象を相手に与えます。
相手がひと通り話し終わったあとに一呼吸置いて「なるほど…」と返すくらいが、
1on1 の会話としてはちょうどいいくらいです。
また、あなたが何か質問して相手が答えを考えるときも待ちましょう。
30秒くらい無言の時間になることもありますが、放送事故とかはないので、
口を挟まないように気をつけ、ゆっくり相手に考えてもらうようにしましょう。
1on1 の場では、障害解決のために相手の問題解決能力を高めるのも大事なので、
熟考の機会を阻害してはいけません。
問題解決のために熟考する習慣を作るのは、相手にゆくゆくはリーダーを任せるためにも大事です。
(全員がリーダーになり得るようなチームになっておくのが大事ですからね!)
4. 自分の悩みを相談しよう
悩みを相談するというのは、「あなたを信頼していますよ」という気持ちの表れです。
あまり悪い気がするものではありません。
ですので、こちらからも悩みを相談しましょう。
特にチーム作りに関する話などがいいです。
これは上の話とつながっていて、相手にゆくゆくはリーダーを任せるために、
「あなたがリーダーだったらどうするか?」という趣旨の質問を投げかけられるからです。
例えば、「今期のマイルストーンにこのタスクを含めるか迷っている」だとか「チームみんなの給与を上げるにはどうすればいいんだろうね?」とか、
リーダーになったら考えるようなことを投げかけてみてください。
相手も一生懸命考えてくれ、視野になかったアドバイスをくれるので、
お互いの成長のためにもこれは有意義です。
5. 相手の顔を見よう
メモを取るのに夢中になって、話してる相手の顔を見ない人がたま〜にいますが、
これは「何も話を聞いてくれない」印象を強く出してしまうので避けたほうがいいです。
とはいえ、メモを取らなかったばかりに 1on1 の内容を全て忘れるようでも
それこそ何も話を聞いてないのと一緒になってしまいますので、
メモは 1on1 のあとにササッとまとめるか、「1回ちょっとまとめていいかな」と相手に断ってPCに打ち込むなどするといいと思います。
6. 相手の悩みには必ずアクションをとろう
相手が今困っていることや悩んでいることを相談してくれたとしましょう。
それだけの信頼は得られているということです。幸せものですね。
ことの大きさによっては相手に「相談してくれてありがとうございます」と言ったほうがいいですね。
さて、せっかく悩みを話してくれたのなら、
相手に「結局この人は何も解決してくれない」と落胆させないよう、
出来るだけの行動をする必要があります。
行動する前にはまず、問題の本質を知らないといけないので相手の話を深く掘り下げましょう。
ここは『ヤフーの1on1』の第1章を読むのが一番よくわかりますのでそちらに譲ります。
問題に対するアプローチが見えてきたら、「じゃあこうしましょう」という話になると思います。
それは、相手だけで解決できる問題かもしれませんし、
あなたが別の人に話しかけないと解決できない問題かもしれません。
あなたの行動を必要とする解決法であるなら、あなたはすぐに行動し、
そしてそのアクションをすぐに逐一、相手に報告しましょう。
解決に至るかまではわかりませんが、その行動が、
相手の次の悩み相談のしやすさにつながるので、大切にしてください。
7. その他の話
上では「悩み相談」の部分にフォーカスしすぎましたが、
今後のキャリアをどうしたいか はそれとは別に話しておいたほうがいいですね。
相手の今後の成長のためにも、マネジメントのためにも。(タスクの割り当てとか、長く会社にいる予定かの予測のためなど)
「まだわからない」って答えの人も多いと思いますが、それならそれでいいと思います。
そんなにすぐ見つかるものでもないので、
1on1 で適当な決め方して相手の視野を狭める必要はなくて、
「今はどういうことしたいか?」の漠然とした希望があるかだけ聞ければ充分だと思います。
あと、1on1 に関する記事で「1on1 はタスクの確認をするところじゃない」なんて書かれ方をしているところがあって、
まあ、それももっともなんですが、今やってるタスクの話から悩みの話がふっと湧いてくることもあるので、
特に日常会話が思いつかなければタスクの話とかしていてもいいと思います。
8. 1on1 の場所
「会議室が取れない問題」というのがあります。
でも、本当に会議室でやらないといけないのでしょうか……?
私の場合、1on1 を受ける側だったとき、
会議室でやると圧迫された雰囲気を感じて話しにくかったことがあります。
1on1 は話しやすいことが一番ですので、必ず会議室という必要もないと思います。
たまには会議室以外の、あまり他の社員に話を聞かれないような場所で話してみるのもいいかもしれません。
Yahoo! の場合ですと、喫茶店での 1on1 は経費で落ちるそうです。
2杯のコーヒーで1000円くらいですから、あらかじめ経理と相談してその方向で行けるか検討してみるのもいいですね。
9. おわりに
というわけで、1年のリーダー経験を踏まえてわかってきた 1on1 の話でした。
やっとわかってきて言語化できたのはよかったんですが、
最初に書いたようにリーダーを託したのでもう 1on1 をしないという問題が……(笑)
くだらない話が好きすぎて、
日常会話で 30 分を終わらせていることも多い私ですが、
ここで書いたことをもう少し意識すると良いんじゃないかなと思いました!
悩みを相談するのに値する人でいたいですね。
Hacking HR! #2 に参加して採用業務の失敗を聞いてきたよ
会社にとって 一番大事なもの ってなんでしょう?
間違いなく 採用 です!
ろくでもない人を雇うと、周りと衝突を起こしたりマネジメントコストが増えたり、
疲れて周りの人が辞めていったり……とまあ、ろくなことになりません。
そんなろくでもない人を部長職にでもしちゃおうものなら、
部単位でどんどん人が辞めていくし、ろくでもない部長がろくでもない人を入社させてしまうのでまあ簡単に会社が腐っていきます。
一人辞めると一人採用する必要があるわけで、それにかかるコストは
エージェントに支払う金額だけで 200 〜 300 万円ほど。(それ以外に掲載費用などもかかるわけですが)
会社の人材の質が下がるだけでなく実質的な費用もかかるので、
採用は本当に気をつけないと、すぐに大変なことになっていきます。
(そういえば昨年こんな記事を書きました)
0. Hacking HR! #2 に参加したよ
さて、前置きが長くなりましたが、
そんな採用に関するおもしろそうな勉強会を発見し、参加してきました。
Hacking HR! #2 です。
スタートアップ企業の人事の勉強会で、特に採用に関してのテーマでやっているようです。
今回のテーマは『実録!「採用」業務の失敗談』
いいですね、このテーマだけであと5回くらいはできるんじゃないかって気がします。
会場は Repro さんです。
トイレにミューズ泡ハンドソープが置かれていて、
「わかるわ〜、ビル備え付けのハンドソープって全然泡立たないよね、置くよね」って思いました。
(私の勤めてる会社にも置いてある)
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1. scouty 伊藤さん (@tetsuyaito_2)
「合否判断が分かれて気付いた! 採用要件の明確化がもたらした2つの価値」
トップバッターは最近サービスが正式リリースを果たしました scouty さん。
(今までのってオープンβ版だったんですね)
scouty さんは 3〜4ヶ月前にお話を聞きに行ったばかりで、おもしろい人事制度をしているな〜と感じている企業さんです。
まさにこのイベントタイトルの「Hacking HR!」って会社ですね。
そんな scouty さんで起こったのが、営業を雇うにあたって
メンバー間で判断が分かれたこと。
じゃあどうしたかと言うと、採用基準をもっと明確化しました。
超詳細な採用基準 です。
「なになにをこうやったことある」「こういう環境でこれをやったことある」といったファクトベースに基づいた、
解釈が人によって分かれないような採用基準を、
細かく細かく超詳細に落とし込んだそうです。(その項目リスト見てみたいですね!)
その結果として、採用すべきかの判断にかかる時間を少なくすることができたばかりでなく、
リファーラル(知人採用)がおこなわれやすくなりました。
どういうことかと言うと、採用要件が非常に明確になっているぶん、
「じゃあこういう人が合うんだ」と社員も理解しやすいので、人を連れてきやすくなるということです。
結果、月におこなわれた50件の面談のうち、採用担当由来の面談は13件、
つまり 70% 近い 37 件がリファーラルを元とする面談となったそうです。マジで?! すごい。
なお、scouty さんは採用候補者と社員全員がご飯を囲むのですが、
その際、全社員が書くその人に関する判断のチェックシートも非常に細かく項目があるそうですよ。
2. ナーブ 大野さん
「5回転職し6社で採用に関わって感じた、採用を失敗させる共通要因」
VR系スタートアップのナーブに勤める大野さんが、現在までの経験談を語ってくれました。
ご本人さんによるまとめ記事はこちらです!
やはり多いのが、そもそも離職する組織構造になっている場合。
「とりあえず人が足りないから採用しよ」と採用を走らせたところで、
組織に問題がある場合は底の空いた桶に水を注ぐようなもので徒労。
採用するのであれば、
- 候補者をどうアサインするか決まってるか?
- 候補者が入社の時点でやるタスクは変わらないか?
→ 〇〇という技術が得意な候補者を、〇〇を使う△△プロジェクトに充てようと採用したが、入社時には△△プロジェクトが無くなっていた、というケースがあったらしい……
→ 〇〇をやりたいと思って入ってきた人は当然すぐ辞めてしまうし、悪い噂につながる - タスクが誰かに行きやすいような組織構造になっていないか?(タスクマネジメントが出来ているか)
→ 即戦力と言われたメンバーが必死で数々のタスクを巻き取っていたケースがある
→ よほどの超待遇なら別かもだが、ふつうは高負荷でつぶれて病み、会社に来なくなる
などを確認しましょう。という話をしていました。
いずれも当たり前の話ですが、
「どうアサインするか決まってるか?」は、けっこう見過ごしがちなポイントなので要注意です。
「いま人が足りていないんです、忙しいんです、だから少なくともあと○○人はください」という
現場の声をそのまま人事が受け取って採用すると、
(大方そういう場合タスクマネジメントが機能していないので)結局なぞに忙しいままだったり、ヒマになる人が出たり、
あまり良い結果につながりません。
最終的な解決はそのチームやその上長の手でおこなうとしても、
「○人欲しい」の要望に対してそのまま受け取らずに、
「それはどうして?」「どういうタスクをやってもらうの?」などのヒアリングは
人事として大事な仕事と言えるでしょう。
3. Speee りゅっくさん (@_kei_y_)
「元マーケターが採用で失敗した話」
こちらで記事にしてくださっています。ありがとうございます!
マーケターをやっていたので、つい、数字で見ればいい! と思って行動したところ、
広告業界と違ってユーザーまでの距離が近いので、相手の個人の人間としての気持ちの動きを見るのが大切 という結論に落ち着いたという話でした。
(例えばエンジニア採用で、人事からスカウトメールを送るよりも、エンジニアからスカウトメールを送るほうが、相手が心を開いて返信しやすいはず、などの心理的部分に着目するのが大事)
スカウトメールを送った際の遷移率(離脱率の逆。何割の人がメールから面接に至ったか、一次から二次に至ったかなどの値)を求め、
そこから募集人数を採用するために必要なスカウトメールを送信し……とやったところ、
質より量になってしまいスカウトメールが低質なテンプレ化。
返信率は下がってしまった、という苦い思い出を話されていました。
一方で、会場からは
「大企業の新卒採用のような母集団がでかい場合には、マーケティング的な発想が効くかもしれない」という案も出ました。
懇親会では、昔、私がエンジニア組織推進室(現在のものづくり組織推進室……ですよね?)の渡邊さんとお会いしていたので、
渡邉さんがプロダクト推進室に異動になり、りゅっくさんが6月にものづくり組織推進室へ異動になるまでの顛末などおもしろく聞かせていただきました。
渡邉さんとの話で、「エンジニアは極論、ネットですべてが完結してしまって会社で働く必要がない。
それならエンジニアに来てほしい会社はどうすればいいか、ネットとの隔たりを出来るだけなくしていく」という思考の元、
社内で勉強会・ミートアップを人事主導で間髪入れず開催したり、
有名なエンジニアと会社で会えるようにしたりなどの施策を意識した。
という話は、1年前の面談での会話ながら今でも印象に残っています。
4. キュービック 森實(もりざね)さん
「組織拡大後に気付いた採用の失敗」
採用コンサルタントとして活躍されている森實さんです。
ITベンチャーにジョインし 30名から 300 名への組織拡大に携わる一方、それにともなう失敗も経験されたそうです。
4-1. 「〇〇さんと働きたい!」戦略の失敗
入社当時の会社は小さく、知名度が低く、給与が高いわけでもなく、採用で勝てる要素が少なかった。
そこで、「ざねさん(森實さん)と働きたい!」と言われるような状態を作り、
候補者の意欲を上げるために、自分の露出を増やしていったそうです。
その目論見は成功したものの、
会社規模が大きくなっていったときに組織がまとまらない問題が出てきました。
- Philosophy:会社の理念
- Profession:仕事内容・プロダクト
- People:人・社風
- Privilege:給与
組織の束ね方の 4P のうち、「この人と働きたい」という個人を推し出す採用の結果、
Philosophy や Profession の部分、つまり会社自体に魅力を感じて働く人が少なかったことに気付いたのです。
会社はその後、理念の浸透のために会社スローガンの作成をしたり、
でもスローガンは結局浸透しないので、社員にテストしたりと迷走したそうです……。
(当然、テストは「軍隊の洗脳みたい」と社員から大不評だった)
4-2. リファーラル意識の薄まり
もともとは 「採用や広報はみんなでやるもの」 という意識が社内にちゃんとあったのですが、
30名だった会社が100名になる頃にはその意識がすっかり無くなり、
現場は「人事がなんとかしてくれる」と思うようになり、リファーラルの文化が消滅(!)
リファーラルプロジェクトを発足させたものの、
マインドセットを取り戻すのには苦労したそうです。
人事だけががんばっていると、思考レベルでみんなから採用意識が無くなっていくので注意。
これ、カヤック社のぜんいん人事部化計画を思い出しますね。
「ぜんいん人事部化計画」「エイプリル採用」カヤックのユニーク人事を支えるたった1つの問い - ログミーBiz
4-3. 「多様な価値観」問題
「多様な価値観を持った人を採用したい」という要望通りに採用していたら、
たしかに良く言えばいろんな人がいる会社になったのだが、
会社のカルチャーは薄まり、組織の結束力が弱くなってしまったという話。
多様な価値観という言葉は聞こえは良いけれど、
「私達は何をしたい集団なのか」の答えとなるような人材を集めることが本当は大切なこと。
だから、「多様な価値観を持った人を採用したい」に対しては下記のような質問に対する
答えを持ち合わせたほうがよい、というお話をされていました。
4-4. 福利厚生訴求採用の失敗
「福利厚生」が並んでるといい会社に見え応募者が増えるので、
職場に猫とかありとあらゆる福利厚生を求人票に書いていたそうです。
しかし、それで応募してくる人は会社に対して
「ホワイトな会社!」というイメージを強く持ち期待値が上がってしまうため、
(実際はベンチャーで土日出社もあるところだった)
少し何かあったときに「ホワイトじゃないんですね……」と裏切られた気持ちにさせてしまうことが起きたそうです。
あまり応募者の期待値を上げすぎてしまう求人票もそれはそれで良くないようです。
(ところで、「ベンチャーだから深夜残業や土日出社は当たり前」みたいに言う会社をたまに見ますが、やっぱ休むときは休んだほうがいいもの作れるんじゃないかなー、と思います個人的には)
4-5. 総括
「応募者を増やす戦術」を考えてしまうと失敗をしてしまう。
「会社がどうなりたいのか」の 戦略を考える人事 が必要だというまとめをされていました。
うちの会社はどこのポジションになっていくのか、競合はどこなのか、
それらの経営戦略を考えて採用に用いていくのが大事。ということでした。
そのためには当然、経営層が関わってくるわけで、
経営層が人事に積極的でないと、採用は成功に至れない という話につながっていくかと思います。
森實さんの講演は濃かったですね。
5. Repro 畑中さん
「口説いたら引かれた ~超えられない壁~」
ラスト! Repro の畑中さんです。主催などありがとうございます。
登壇資料はこちらです!(GitPitch のシェアURLはディレクトリ指定ができないっぽいので直接Markdownへのリンクです)
創業から2〜3年目、坊主と眼鏡のシニアメンバーばかりだったとき、
業務拡大に伴いコンサルを20名くらい採用する必要が発生しました。
その人数の経験者を採用するのは難しかったのでポテンシャル採用も含めた結果、
今度はその人達をマネジメントするマネージャーが必要となりました。
ここまででちょっと失敗してる気もしますが置いておいて、
今回はそのマネージャー採用に苦労した話です。
なんと驚きの圧倒的辞退率:90%!
これには会場の皆さんから笑いが。
ヒアリングをおこなってみると、大きく理由は5つに大別されるとわかりました。
- ビジネス領域の違い
- 経験したいフェーズの違い
- 年収
- カルチャーアンマッチ
- 家族の理解が得られない
1. 〜 3. はどうにもできないとして、
4. と 5. についてはコントローラブルと考え、改善することにしました。
どうも候補者としては、
- ベンチャー企業は結果が全て→悪かったら即座にひどいことになる
- 土日も当たり前のように働かなくてはいけない
- 妻から同様に「全ての時間が会社に取られる」という認識で、「仕事漬けなのに給料下がるし、ストックオプション本当にもらえるの?」などの嫁ブロック
という誤解があるようで、そこを説明。必要あらば奥さんにも説明。
そうして、採用に至れるよう改善していった、とのことでした。
会場からの質問では「口説き文句は?」というのがあがりました。
「『自分は会社のこういう良いところに惹かれて入社したんですよ』を言うと刺さる可能性が高い」というお答えでした。たしかにそうかも……
6. おわりに
懇親会もとても良かったですね。
採用担当の方が多いからなのか話し上手な方が多く、
非常に楽しい懇親会を過ごすことが出来ました。お食事もいっぱいありましたし。
Schoo の武井さんとお話して、適性分析の分野において
Schoo@me (2017/04設立)が大学との共同研究をしている話の子細を伺ったのは、最高に熱くて燃えましたね。
自分らしさを解析して、誰もが個性を活かせる社会をつくる | SchooMembers
まずベンチャーが R&D (研究開発)の子会社を作るって時点ですでにすごいですからね。
何を出してくれるか期待大です。
そして……
Hacking HR! #3 が 9/25 に開催されます!
ハッシュタグは前回同様 #hackinghrs です。
今回は私としては興味あるテーマではないので参加はしなさそうですが、
今後もぜひとも参加したい、とても良いイベントでした。
人事って最高ですね!
マネジメント半年やったので良かったことと改善すべきこと
エンジニアでありながらもマネジメントポジションを経験させていただき、
だいたい半年が経ちました。
前回のマネジメント関連記事がこちら。
これができて良かったなぁ、と自己満足ながら良かったことを振り返りたいと思います。
Good 1: なんでも情報共有
とにもかくにも情報共有です。
出来る限りこなせたかなと思います。
マネージャーというのはただの役割に過ぎなく、チームは平等なので、
マネージャーだけが知っててチームメンバーが知らない、なんてことはできるだけ作らないのが良いと信じています。明日私が死ぬかもしれないし。
1-1. 朝会の内容まとめを投稿
朝会で各人のタスクをその日のインタビュアーが聞いて、
それをSlackにまとめて投稿する形にしました。
(以前の組織では、各人が順番に発表する形でしたが、私の場合、自分の番が回ってくると頭が真っ白になることがよくあったので、話しやすいインタビュー形式をとりました)
Slackにチームタスクを投稿するのは、周囲からの反応が良かったです。
各チームが何をしているのかわからなくなっていくのは上の人ほど抱える不安なので、Slackにそれが示されているのであれば不安も減ります。
しだいに他のチームでも、Slackに各人のタスクのまとめが投稿されるようになりました。
周りに広がっていったのはとてもうれしかったです。
1-2. 困ったらチームメンバーに相談
採用などの混み入った話も含めて、「今こういうことで迷ってる(困ってる)けど、どうするといいかなぁ」をチームに相談するのは
いろんな良いことがありました。
みんなからアイディアをもらえて私が助かりましたし、
みんなはマネージャーの視点を持つことが出来ます。
お互いに成長の機会を得るので、これは特に続けていきたいです。
1-3. この人はこれが得意だよ、を共有
採用面接で私とは会っているけれど他の人とは会っていない人が入社してきました。
私は、履歴書を読んでるし面接で話してるから、
「この人は〇〇が得意で、〇〇をお願いしたいなあ」と頭にあったのですが、
それは私の頭の中にあるままでした。
チームにその人がジョインしてきたものの、
なんとなく周りとなじめず、また、得意分野でないところで何度か大きな失敗をしました。
で、これ放っとくと「なんであんなの入社してきたの?」だし「入社させたの?」って感情がメンバーに生まれて、
距離が発生したり大きな不満になったりする(→離職)可能性があるんですよね。
そこで、その人と面接したのは私だけだったことを思い出し、
「〇〇さんは〇〇の分野においてスペシャリストだから、そのことでわからないことがあればなんでも聞いてください」と機会を見つけてメンバーに話しました。
これはよかったと、あとになって思いました。
けっこうエンジニアの得意な分野って異なりますから、(特に現在チームの担当分野がフルスタックに近いものですのでなおさら)
どこが得意なのかを宣伝してあげることで、いいリスペクトのある関係性が結果としては生まれてくれました。
採用の理由をちゃんとメンバーに話すのって大事だと思うので、
次はもっと早く伝えるように気を付けようと思います。
Good 2: メンバーを信じられる
ここ成長しました。
以前の記事で、
信じて任せて感謝する
って書いてましたが、書いてた当時これが全く出来なくて悩みでした。
進捗が気になって、いま何をやっているのか頻繁に聞いちゃうんですよ。
なにか困ってることがあるかを尋ねるのは大事だと思うのでバランスなんでしょうけど、前はけっこうそのバランスが悪かったです。
あんまり介入しすぎるとメンバーの成長を阻害してしまうことがあることを意識し、
以前よりはタスクを一任できるようになったかなぁ……と自分としては思います。
元がおせっかい焼きの心配性だから苦戦するところです。
Good 3: 勉強会、輪読会、KPTなどのチームイベント
- 朝会(毎日10分) - 頭の整理・タスク情報の共有
- 勉強会(45分) - 情報収集能力・伝達能力の向上
- 輪読会(45分) - 知識習得
- タスク振り返り・洗い出し会(30分) - 振り返り・タスク状況の確認
- KPT会(30分) - 振り返り・称賛・改善
といったおおよそ一般的な取り組みが、安定して出来るようになってきているのがとてもいいです。
KPT会から始まり、少しずつ増やすことが出来ました。
勉強会は技術関係なしでもいいことにしていますが、それでもやっぱり登壇者不足しがちです。難しい。
あとは、「なんだか最近仕事ばかりしてるな」と個人的に感じたときに、
不定期で「チームビルディング」と称してボードゲーム会を就業時間内に2時間くらいやっています。
チームで一緒に遊ぶ思い出づくりは、日頃のチームワークに良い影響が与えられると信じています。
今は2ヶ月に1回くらいですが、1ヶ月に1回くらいの定期イベントにしてもいいかなと思っています。(でもどこにも確認取らず就業時間中にやってるので、誰かに怒られるのではとビクビク)
Good 4: 1 on 1 が少しわかってきた
以前の記事を書いた少し後くらいに、
『ヤフーの1on1』という本が良いよと、元Yahoo!の笹子さん(日本エンブレース)に教えてもらって読んだら、すごくためになりました。
まだまだ出来ているとは言えませんが、1 on 1 にどのように取り組めばいいのかわかって、以前よりは行いやすくなっています。勧めてもらってとても感謝しています。
とは言えしっかり実践できているとまだ感じられませんので、繰り返し読むことが大事だと思います。
Good 5: 納得できないことは交渉する
1度だけ納得出来ないことがチームに要求されたことがありました。
そもそも入社時の労働条件にはないことでしたから、それを強要されるなら私だったら会社辞めるな……ということなので、
これについてはチーム会議を開いて全員の納得できるラインを聞き、労務方面と対価など交渉しました。
その結果、当時のチームメンバーの妥協ラインはなんとか押さえられる物になってよかったです。
この部分ができるのってチームマネージャーなので、
いくら会社としてやらなくていけないことであっても、労働に直接響くところの変更を
チームの合意無しで進めるようなことは絶対におこなわないように今後もしなければと思いました。
1回決まったことはそのまま続いていって、全員が苦しむことになりますからね……。
Bad 1: まだ面接が苦手
面接が上手く出来ている気がしません。
相手の本質とか技術力を測ることが全然出来ていないんじゃないかなぁ、と私としては思います。
あと、わりと緩めに通してしまう傾向があります。
採用はリスクマネジメントってこの本に書かれていますから、
もっと慎重になるべきなんですけどね。
会社の仕組みとして一次面接が人事で二次面接がチーム、という形だったんですが、
一次面接に出席させてもらうようにして、
人事の横で上手い面接を学びやすく、かつ、面接に参加する回数を増やせるようにしたのですが、まだまだですね……。
上手なエンジニア採用面接をどうやったら学べるのかもわかっていなければ、
どうやったら上手くなったと言えるのかの分析もわからなくて、
ここは今後も苦しみそうです。
Bad 2: マネジメントしてるようでしてない
なんだか最近チームが上手くまとまっちゃって、
チームメンバーも自分で考えて動いてくれる人が多いので、
最近はそこまでマネジメントがんばってる感はないんですよね。
良くない兆候(タスクの粒度が大きくなってしまっている傾向や、他のチームとの絡みが少なくなっているなど)があったらKPTで提案して微小な軌道修正はしていますが。
安定してるのは良いこととも言えるのかもしれませんが、
なんだか何か大事な欠点を見落としているのではないかとも不安になる日々です。
それはそれとして、面接と 1 on 1 はまだ上手くできてる実感がないので学んでいかないとですね。
Bad 3: タスク管理の最適解とは
「これが最高」がないのがつらいところです。
今はホワイトボードで物理カンバン管理をしているのですが、
これは利点も多くて、すぐ目の前に自分の Doing が見えるので自分が何をしなきゃなのかすぐ思い出せる。
タスクの追加がおこないやすいし、追加されるときはみんなの目に留まる。
ToDo や Doing がいっぱいになってることがひと目でわかるので、タスクの洪水を防ぐ危機管理が行いやすい。
他のチームの人も、通りかかるとホワイトボードが見えて「こんなことやってるんだ」がわかりやすい。
などなど、いいところがある一方、
会社の外にいると見られない。
詳細は書きにくい。(付箋のスペース的に)
Done をオンラインログに残すために転記が必要。
などのネットでないゆえの問題もあります。
これらの解決法として、
大型ディスプレイを置いてそこに常時 Trello や Wrike などのボードを表示しておくという手法があるのではとも思いますが、
コストが張る問題や、それを表示するためのマシンはどうするの、などの問題が……。
同じ課題を抱えていたのか、Google が Jamboard という電子ホワイトボードを作ったのは大変おもしろいなと思います。
しかしお値段なんと64万円と、これもやっぱりコストが・・・(笑)
Googleのスマートホワイトボード「Jamboard」がついに発売、どんなことができるのかが一発で分かる新ムービーも公開 - GIGAZINE
私達は理想的なタスク管理手法を手に入れることができるのでしょうか……。
おわりに
幸いにも「良いチームだ」とメンバーから言ってもらえていてありがたいことですが、
じゃあ逆に「悪いチームだ」とメンバーが直接 1 on 1 で言ってきてくれるかと言えば、必ずしもそうとも思えないので、
どうすれば悪くなるかを引き続き考えて注意しながら、
気を緩めず進行していければと思います。
エンジニアマネージャーは、
マネジメントの勉強をしつつ、
社内全体の変化に過敏であり、
チームがつらい状況になっていってないか気にし、
チームメンバー個々人が成長できる機会を得られているか気にし、
かつ自分自身がエンジニアとして錆びつかないよう家での学習も欠かさない、
と、書き並べてみるとやること多くておぞましいし、実際、全然全部はできていないですが、
バランスよくこなしていけるようになりたいと思います。自分としては楽しいです。
おしまい!