ハトネコエの人事・採用ブログ

人事や組織関連の話で、読んだこと・考えたこと・聞いたこと等々

【採用、そして評価制度】scouty x HRBrain の勉強会に参加してきました!

というわけで、scouty さん*1HRBrain さん共催の、こちらのイベントに参加してきました!

【scouty × HRBrain】HRTechベンチャーが語る自社採用、目標・評価管理の成功と失敗

今最高にイケてる(ハトネコエ視点) HR Tech 企業2社のゴールデンタッグです。最高ですね。
会場はいっぱいになるかなと思いましたが意外と参加者は少なかったです。15人くらいかな。

しかし、 sli.do で質問を受け付けていたら、
かなり多くの質問が集まって、すべての質問に答えきれないくらい盛り上がっていました!

sli.do で質問を受け付ける勉強会、他にも何個か参加したことありますが、
そんなに質問って集まらないんですよね。

質問が集まりすぎて、予定していたタイムテーブルと大きく変わって
19:50〜21:10 までずっと質疑応答の時間みたいになっていました(笑) 楽しかったです。

セッション中の sli.do のスクリーンショット
セッション中に46投稿、2分に1回のペースで投稿されていました。すごい!

1. 登壇者紹介

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モデレーターは HRBrain の大森さんが担当してくださいました。イケメンですね。
話の流れを意識しつつ、うまく質問をどんどん拾っていってくださいました。

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うお、めっちゃぶれてる。ごめんなさい。
スピーカーは左から scouty の千田(ちだ)さん、 HRBrain の中野さんでした。

2. リファーラル採用の話

2-1. 「全員が採用担当」の意識作り

まずは採用の話。

scouty さんは 40% がリファーラル、40% が自社サービスである scouty を使用しての採用とのこと。
scouty さん自身も scouty を活用しているんですね(笑)

scouty さんも HRBrain さんも共通して意識しているのは、
人事が頑張って採用するというよりは、 全員が採用しようというマインド とのこと。

これは以前書いた採用失敗談の記事の『4-2. リファーラル意識の薄まり』の逆ですね。

では、そのために何をしているかと言うと、
scouty さんの場合は、良い会社にするのがまず一つ目に取り組むべきところである、とのこと。

「良い会社」の定義は glassdoor の評価軸が参考になるとのこと。

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https://www.glassdoor.com/Overview/Working-at-Sony-EI_IE3541.11,15.htm#trends-overallRating より引用

  • 友人に勧めたくなる
  • 経営者が信頼できる
  • 事業の将来性に期待できる

の3軸ですね。

もう少し詳しいところは、千田さんの書いたリファーラル採用に関する記事の
『メンバーロイヤリティ(動機づけ軸)』のところをお読みください。

「友情」が崩れないことを大切にするため、
リファーラルでの候補者の選考には紹介者を一切関与させないことを明言する、などと心揺さぶられることが書かれています。

「全員が採用担当」のマインド形成として、他には「全員でやるぞ」って上の人(経営者)がみんなに言う、っていうのもありました。
すごく素朴なやり方のようで、私はこういうのは大切だと思っていて、経営者はみんなにどうしてほしいかを常に発信できると良いと思っています。
それによって、何が期待されているかを社員は知ることができるし、経営者のなってほしくないネガティブな企業文化になってしまうことを避ける効果もあると思います。大事です。

scouty さんは月の売上が一定数を超えると全員の給与が上がるという制度を設けており、
採用がその人の給与を上げることにつながる(紹介した人が採用されることによって事業が伸び、結果としてみんなの給与が上がる)ということが伝わるといい。というモチベーション作りもおこなっているようです。

中野さん「リファーラル報酬というのが最近は一般的になったので
とりあえずで導入してしまう企業も多いけれど、
まず、どう嬉しくなるかなどが社員に伝わるよう、動機付けの設計をするのが大事」

ちなみに scouty さんはリファーラル報酬を設定していないそう。意外!
「友人がいい会社(scouty)に入って幸せになってもらいたい」というモチベーションで行動してもらえるようにしているとのこと。

2-2. リファーラル採用に関する質問

Q. エンジニアって、どういうモチベーションで誰かを採用するんだろう?

私の書いた質問です。
「どういうモチベーションでリファーラルするんだろう?」って文章が正しかったですね……。

大森さん「エンジニアは常に人手が足りていないので、良いエンジニアを入れることでもっとプロダクトを成長させたい! というモチベーションを持っていると思います」

Q. リファラルとか全員で採用活動ってなったら、そもそも「人事部」の存在って本当に必要なのか?

肝心の登壇者の回答を覚えていないんですが、この質問おもしろいなあ、と思って取り上げました。

私としては、そもそも人事の活動は採用だけでないってところがあるし、
「採用」に絞ってみても、中長期的な採用計画を全員が考えられるかと言うとそこは専門がいた方がいいし、
採用者の受け入れをどうするか、とか、リファーラル文化の浸透とか、採用イベントの企画とか、Wantedlyなど媒体の運用とか、
やれることは多いので、ある程度の規模の会社ならやはり人事は必要かな、と思います。

Q. リファラルとその他採用で、パフォーマンスや定着の違いはありますか?

これもおもしろい質問ですね。
リファーラル採用での候補者は「事業ビジョン」でなく「人」で会社を選んでしまっているので、定着が悪いのではないか? とか、
リファーラルだと選考基準が甘くなってしまうのではないか? という懸念からの質問だと思います。

千田さん「リファーラル採用での候補者も、選考のプロセス自体は変えていなく同じ基準なので、パフォーマンスや定着については変わらない感触です」

3. 評価制度の話

3-1. 1on1 のあり方

HRBrain さんでは、自社サービスの HRBrain を用いて、 1on1 管理をおこなっているそう。

1on1 の際に、1on1 をする両者がメモを取る仕組みになっていて、そのメモはお互いが見られる
これによって、話したことの受け取り方の違いが発生している場合に気付ける効果がある。

会場からの質問では、「1on1 で話した内容が記録として残るのは、1on1 の心理的安全性が下がりません?」というものが出たが、
いちおうこのメモは、1on1 の両者間と、あとは役員陣のみしか見られないものになっているそう。

個人的には、社内で共有されると思うと
けっこう 1on1 で話すことを自分の中で制限しちゃうかもなぁとは思いました。
「メモに残してもらいたくない内容は『ここはオフレコで』と言う」とか明文化されてると少しやりやすいかもしれません。

メモを残すこと自体は良いと思うので、気持ちよくおこなえるための合意形成が大事になってきますね。

1on1 は頻度を多くやって、被評価者に短いタームでフィードバックを返せることが大事で、
仮に成績が悪いとしたら、「これ出来ていないよね」を早めに伝えることで、
期末時の査定が被評価者から見て「なぜか低い!」という驚き(ネガティブサプライズ)を起こさない効果がある。という話がありました。

1on1 についてはちょうど先月記事を書いていますので、そちらも見てもらえると嬉しいです!

3-2. マネージャーのあり方

中野さん「自分が頑張るより、自分と同じくらい出来る人を2人作れたほうがよっぽど素晴らしいよね? ってのを昔から考えています」

育成に先行投資をしよう、という話がありました。
1on1 はそのための1つの活動ですね。

しかし育成で難しいのは定性的評価、つまり、何が出来る状態なら育成完了したと言えるかの部分。

HRBrain の中野さんは、育成の完了状態を「自走できる状態」とし、
「上司に確認せずとも、上司がやってほしいと思っていることを勝手に自分でやれる状態」と定義しています。

たしかにこの「自分で判断できる状態」になるまでってけっこう時間かかりますけど、
それが出来ると一気に業務がスピードアップしますよね。育成大事ですね。

HRBrain のおもしろい点として、目標を共有する設定にも出来るそう。

成果を出す人というのは得てして、やるべきことが明確化されているため目標設定が上手い。
というのが中野さんの話で、目標設定を共有することで、
上手い目標設定を見ることができたり、マネージャーに将来的になりたい人がマネージャーがどういう視点で考えているのか見られたり、
学びの効果を得られると話していました。

なるほど、現在うちのチームで目標設定を共有しているのは
「他の人がどういう目標を立てているのか知って、全員が目標達成をできるよう支え合ってほしい」という願いでしたが、
そういう効果も望めるというのは考えていないところでした。良さそうです!
全社的に目標設定を共有したくなりました。

3-3. 10段階評価

HRBrain さんでは事業目標の達成度と、会社のバリューの体現の2軸を 5:5 の配分で評価しているそう。
昔は5段階での評価でしたが、5段階だと被評価者が4点をつけたときに評価者が3点とは付けにくい気持ちになる(20%違うので)問題があったため、
ざっくり5つに分けた評価基準をさらに2分割した10段階評価にすることで、点数を付けやすくしたそう。

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このスライドには載っていませんが、
「チームにポジティブな影響を与えるほど体現している」や「体現している」の具体例がそれぞれ数個示されていると、
点数付けはよりおこないやすそうですね。

点数付けは被評価者も評価者も頭を悩ませるポイントですので、
基準は詳しければ詳しいほど良さそうです。

4. ふりかえって

聞いたことのなかった考え方もありましたし、質問がたくさん飛んでとてもいい会でした。
質問がありすぎて、スライドが用意されていたのですが、ほとんど使われませんでした(笑)

途中途中で参考資料として使われたこのスライド、
おもしろい情報も載っているので「公開してほしいな〜」と聞いてみたら、
後日メールで案内されるそうです。わーい!

届いたらここにも貼り付けようと思います。

さて、connpass での応募時にも書いた、とても気になっていた疑問がありました。

Q. 人事自体の目標管理ってどうすればいいですか?(採用人数をKPIにしてしまいがちだけれど……)

これに対しての中野さんの回答は、
「人事は組織のパフォーマンスアップのために人を適材適所にあてるのが一つの仕事。
だから例えば、適材適所にあてるための施策を作る、というのは一つの目標設定になりうるのでは」という話でした。

なるほど、と思いつつも、じゃあその施策の良し悪しはどう判断するのか? とか、施策を作るだけ(アウトプットが見えるものだけ)が人事の仕事なのか? とか、
定性的で納得感ある評価をおこなう観点では、まだまだ考えられるところはありそうです。

千田さんがめちゃくちゃ回答に窮していましたけど、実際これは、そうとう難しい問題なんだなあと思います。

もしかすると、総務や人事といった、業務範囲が多岐に及ぶ業種の評価に
目標設定(MBOやOKR)を使うというのがふさわしくない可能性もあります。

必要な業務スキルを書き出しておいて、評価時はそれらのマスター度をスコアにする成長評価とか、
360度評価を使うとか、そういう考えも全然あると思います。

『制度をリリースしたあと、社員からどんなポジティブ・ネガティブな声が出て、それをどう軌道修正をしていくかの方が大切』と、
『デキる人事はどう動くのか? 人事のプロが語る、強い組織のつくり方』の記事でも触れられていますし、
評価制度に正解がないことは常に意識しつつ、
現場にとって今なにが最良か考えながら、評価制度をプロダクトのごとく常にアップデートさせていきたいですね!!

*1:2019年春より、社名およびサービス名が「scouty」から「LAPRAS」に変わります https://thebridge.jp/2019/03/scouty-is-gonna-be-a-lapras