ハトネコエの人事・採用ブログ

人事や組織関連の話で、読んだこと・考えたこと・聞いたこと等々

カジュアル面談で大事なことって?(『公開! みんなのカジュアル面談 #1』レポート)

『公開! みんなのカジュアル面談 #1』を開催しました!

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公開! みんなのカジュアル面談 #1

『プログラマのための数学LT会』以来の主催イベントとして、
『公開! みんなのカジュアル面談』を 10/21 に開催しました。今回はそのレポートです!

写真は まさよふさん (@masayofff) からご提供いただきました。
ありがとうございます。

なぜ開いたか?

Wantedlyスカウトなどをきっかけとしたカジュアル面談の機会は増えました。

面談の舞台には人事だけでなく現場のエンジニアが参加することが増え、
それ自体はいいことなのですが、エンジニアは面接慣れしていないことが多く、
また、人事ですら、カジュアル面談をどういった面談にすればいいのか、わからないでいることは多いです。

結果として、カジュアル面談の失敗が起こります。

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開会式の資料より『カジュアル面談の失敗って?』

  • 会社への興味を惹けなかったり、ありきたりな事業内容に思われて「つまらない会社」と思われてしまう
  • 相手に悪い心象を与えてしまう(例えば面接官がずっとPCを見ている、話を遮るなど)
  • 候補者への訴求が足りなく、「別に入社するのが私でなくてもいいのでは?」と思われてしまう

カジュアル面談にいらしてくださった方は、多少なりとも会社に興味を持ってくださった方です。
交通費をかけてまで来てくださっているパターンが大半です。
せっかくの大チャンス、そこから次につなげられないのは面談の失敗です。

では、どうすれば良いカジュアル面談はできるのでしょう?

自分がいいカジュアル面談が出来たか(自社へのアトラクトが作れたか)を自社の人に客観的に判断してもらうのはとても難しいです。
カジュアル面談のやり方は確立されておらず、誰かに聞いても明確な答えが得られるものでもありません。
そこで、「カジュアル面談を見せあうことで良いところを吸収し高め合おう!」と考え、今回のイベントを開催しました。

40分の模擬面接と20分のフィードバックタイムを通して、
面接官役の方、客席の方ともにスキルアップができることを目指します。

面談の様子

第1部:二井 雄大さん(LAPRAS株式会社)

予定していた小谷さんが風邪で来られなくなり、急遽、
会場をお借りしている LAPRAS二井さんに、面接官役をやっていただくことになりました。
当日にも関わらずご協力くださり、本当に助かりました! ありがとうございます。

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二井 雄大さん(LAPRAS株式会社)

候補者役は横江さんにおこなっていただき、
『日本最大の "人" のデータベースを作りたいWebエンジニア Wanted!』 に「話を聞きに行きたい」で応募したというシチュエーションでお願いしました。

候補者が気になっていたLAPRASのプロダクトの詳細、
(候補者視点では機械学習の会社の印象だったが)Webエンジニアが活躍できる場はどの程度あるのか、
今後どういった機能を拡充させたいのか、などの話を中心に進みました。

会社紹介資料が充分に用意されていて説明がわかりやすかったことに加え、
今後の選考フローが詳しく案内され、候補者が次に何をすればいいのか想像がつきやすくなっていたのもポイントかな、と思います。

選考フローの説明は人事にとっては自然なことかもしれませんが、
私含めたエンジニア面接官にとっては全然頭に入っていなくやり逃していたことで、
懇親会ではエンジニア面接官同士で、「次何すればいいかの説明って大事だね……」と反省しあっていました。

さすがのわかりやすさで評判のよかった二井さんの面談ですが、
二井さんいわく、本来は

  1. 組織・事業の話
  2. プロダクトの話
  3. 候補者についての話
  4. クロージング

という四本柱で話すところを、
プロダクトの話で時間を使ってしまって組織・事業の話をほとんどすることが出来なかった。
プロダクトの説明までするのは及第点でしかなくて、
候補者がそこで満足してしまい次のステップにつながらない、今回のは30点! と悔しがっていたのが印象的でした。

LAPRAS式カジュアル面談の記事で概念を読むことはありましたが、
実践として見られることは今までなく、LAPRASさんの登壇の中でもかなり異色で、心に残りました。
見ていて、カジュアル面談について戦略立てて進めようとしている意志が伝わりましたね。

第2部:是澤 太志さん(合同会社クロスガレージ)

是澤さんの面談を受けたことのある私としては、
「この面談スタイルを多くの方に見てもらいたい!」と思っていて、
イベント開催を決めてから真っ先にお願いに上がりました。

特殊なイベントなので受けてくださるか不安でしたが、すぐに快諾くださり、本当に嬉しかったです。

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是澤 太志さん(合同会社クロスガレージ)

候補者役は荒さんにおこなっていただき、
現在はアプリエンジニアなのでバックエンド未経験ながらも、Speeeのバックエンドエンジニアはどうかと友人エンジニアから紹介を受け面談。というシチュエーションでやってくださいました。*1

候補者と会社の接点を増やす、というのを主目的に置いており、
Speee時代はまず人事と候補者で10分ほどお話をして、そこで人事と候補者の接点を作り、
その後で人事から候補者の緊張状態など伺った上で交代し、是澤さんが面談に出てくる、という流れにしていたそうです。

面談が始まると、是澤さんの自己紹介ののち、(この自己紹介が少し長めで、「いろいろ経験していますので、キャリアなど面接に直接関わらないことも聞いてください」と質問しやすい空間作りをしている)
会社紹介に移ります。ここで席を立ち、ホワイトボードの前に移動します。

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ホワイトボードを使って会社説明をする是澤さん

面談用のスライド資料を準備することも一般的になってきた昨今ですが、
是澤さんとしては「よく出来た資料は隙がない」という考えのもと、
ディスカッションが起こりやすいよう、あえてホワイトボードなど手書きでの説明をおこなうよう心がけているそうです。
ここでも、相手が発言しやすい環境づくりに気を遣っていることが伺えます。

会社が安定していて、経営陣がエンジニアを尊重する気持ちがあるために
技術的なチャレンジがおこないやすい、などの会社のアピールポイントを含めた説明の後は、
「(複数ある事業の)どれに興味ありますか?」という質問。
これにより、「じゃあ次はこの部署の人と試しに話してみますか」などと次につなげる目的があるそうです。

会社の説明をしたあとは候補者の話。
「将来、どうなりたいとかあります? 3年後とか……20年後とかでもいいですけど、欲望的なものとか」からスタートし、
候補者の人が何をしていきたいのか、大事にしているのか、深掘っていきます。

この時間は完全に面接というよりもキャリア相談の 1on1 といった様子で、
是澤さん自身、この時間は会社のことを忘れて相手とのディスカッションを楽しむことに重きを置いているようです。
これはカジュアル面談としてかなり異色で、実際に見てもらいたいです。

sli.do での質問の中で「相手が若手だから成長のためにやっている?」とありましたが、
会社として「これから伸びていく人」を採用するために、こういった深いディスカッションをいつも面談ではおこなっているそうです。

最後に「あとでFacebookの申請くだされば、今日聞き逃したことでもキャリアのことでもなんでも、気軽にメッセージください」と
ゆるいつながりを作れるようにクロージングし終わりました。

候補者と会社の接点を増やすことが目的で、目先の採用人数を増やすことが目的ではない、(結果的には採用に結びつくのですが)
という是澤さんの面談に対する哲学が伝わってくる独特なカジュアル面談でした。

公開カジュアル面談を通して

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スポンサーのリブセンスさんからご提供のドリンク

おもしろかったのが、2人とも時間を見ていなかったのに、40分の模擬面談中、
20分で会社の話を終わらせて、残りの20分で相手の話を聞くことにシフトしていたこと。
面談慣れしすぎていて、時間配分が体に染み込んでいるのかもしれません。

面談の方向性はけっこう違っていて、
二井さんが理路整然と論理的、是澤さんが相手に寄り添って感情に働きかけるもの、に感じました。

「もっと話してみたい」と思わせる点においては、是澤さんの、面接に直接関係ない相手の話をどんどん引き出す、という手法は良さそうで、
「相手を採用することがゴールではない」と割り切っているからこそ取れる作戦に思えます。
もちろん、会社と候補者の接点を増やすという目的は成すために、次へつなげる流れを作らなければ、
ただ1対1のお話を楽しんだだけで会社を意識してもらえなくなるので、その点は注意です。

個人的なまとめとしては、

  • 会社の良いところをアピールできる資料の準備(是澤さんみたいに資料無しで話せる人は多くないと思うので、これはあった方がいいと思った)
  • 半分は会社の話をして、半分は候補者の話をするという時間配分
  • 相手の今後やりたいことを伺う
  • 面談の最後では、候補者が次に何をすればいいのか案内する

あたりを真似したいなと思いました。

最後に

色々ありましたが、開催でき、本当によかったです。
当日の出席票を数えたら21名の方にご参加いただいていたようで、想定していたより多く驚きました。嬉しいです。

懇親会の場では「この1年の中で一番勉強になるイベントだった」などありがたい言葉をいただき、
また、Twitter でもご感想をいただけて幸せな気持ちになりました。

面接官役を快く引き受けてくださった二井さん、是澤さん、小谷さんはもちろんのこと、
会場を貸してくださった LAPRAS の千田さん、伊藤さん。
いろいろ気にかけてくださった ミラティブ の井上さん、
候補者役をおこなってくださった荒さん。

ドリンクスポンサーの リブセンス さん。(転職ドラフトビールおいしかったです!)
当日の写真撮影を引き受けてくださった まさよふ さん。

多くの方にお世話になりました。
ひとり主催かつ特殊な形式の勉強会だったため、皆様のご協力があって初めて成り立ったイベントでした。

sli.do にもたくさんの投稿がありました。
2時間のイベントで101件の投稿があり、
20分のフィードバック時間を有効に活用することが出来ました。
参加者の皆様、ありがとうございました。

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ほとんどの方が sli.do を覗いてくださいました

かなりエネルギーを使ったイベントでしたので次回がいつになるか確信が持てませんが、
もっとも早ければ、12月イベント公開の2月開催になるかと思います。
その際は改めて、皆様のご参加、よろしくお願いいたします。

*1:主催としては、クロスガレージの募集がないのでシチュエーションをどうしようか迷いましたが、最終的には是澤さんがSpeeeに確認取ってくださり、イメージがつきやすいシチュエーションの面談となりました。ありがとうございます

性善説経営ってよく言うけど性悪説が好きです

最近よく「性善説経営」という言葉を聞くようになりました。

言いたいこととしては、
「みんないい人に違いないから、俺たちはお前らを信じる。どれだけ裏切られたって信じるぞ」
っていう意思表明として使われています。

この意思自体はとてもいいのですが、
そのために「性善説」という言葉が使われるのはどうしても違和感があります。

学校で哲学を学んだわけではないですが、私の理解としては、

  • 性善説 : 人間の本性は善なるもので、外部的要因で悪に染まっていってしまう。だから染まらないよう、道徳や教育を重んじるべきだ
  • 性悪説 : 人間はもともと弱い生き物だから、道徳や教育、もしくは懲罰により善に導いてあげるべきだ

が、それぞれの説明になると思っています。
どちらも「道徳や教育って大事だよね!」が最終的に言いたいことなので、本質的には同じものだと思っています。
決して性善説性悪説は対になる存在ではないと。

で、あとは好みの問題なんですが、私としては性悪説のほうを推しています。

人間はもともと弱い生き物だと思います。
5歳児ですら、教えたわけでもないのに嘘をつくことがあります。きっと自分を守る防衛本能によるものです。
みんなが本能のままに生きてしまっては、自己の欲求を満たすことや自分を守ることに必死になって社会が混乱します。
そこで人間がどうあるべきかを示すものとして道徳があるのではないか、ってのが私の考えです。
(「善」ってなんでしょうね? 「秩序」のことなんですかね……)

で、これ関連で好きなのが、最近人事界隈でホットなミラティブ社のミッションで、
あそこ、『わかりあう願いをつなごう』ってミッションなんですよ。

サイトから引用しますと、

「人と人がわかりあう」のはとても難しい。
友だちとも、恋人とも、同僚とも、 あるいは集団同士や国家間だってそう。
それは、皆がスマートフォンを持って、いつでもどこでも
あらゆる「情報」にアクセスできるようになった現代でも、なお、難しい。

だから、もしかすると「わかりあう」って、人類にとって最後まで残る永遠の課題で、
皆で力をあわせて解決のしがいがある課題なんじゃないだろうか?

この文章がけっこう好きで、人間って弱い生き物だよね、っていう根底の部分の理解を示した上で、
「でもそれをみんなで乗り越えたいよね!」という熱い想いにつなげているところが好きです。

乗り越えたいですよね。

個人的には、性悪説に則った考えの方が、
「いかに弱い自分らに私達は打ち勝てるか」ってストーリーを示せて好きです。

ですので、 「みんないい人に違いないから、俺たちはお前らを信じる。どれだけ裏切られたって信じるぞ」
っていう意思表明自体は好きです。
人を信じられなくなることがある弱い自分らが出てこないように、みんなで共通の意識を持つわけですよ。

なんかカッコよくないですか?

というわけで、性善説よりも「人間は弱いものだ」という前提に立つ性悪説が好きだし、
もっと性悪説という言葉を推していきたいな、って話でした。

そういえばメルカリも「性善説」って言葉を前面に出すのをやめたらしいです。
本来の意味で考えると、性善説って言葉で打ち出すのは具体性がなくてよくわからないですから、
『Trust & Openness』 という明確な指針に落とし込んだのは良い動きだな〜って思いました。

ブログ誕生!

本家のほうで告知して、こちらでの案内がまだでしたが、
おととい 18 日よりブログ誕生いたしました。

また、それに伴い『ハトネコエ Web がくしゅうちょう』にあった人事や組織関連の話題はこちらにお引っ越ししてきました!
ほどよいペースでのんびりとやっていきたいと思います。