マネジメント半年やったので良かったことと改善すべきこと
エンジニアでありながらもマネジメントポジションを経験させていただき、
だいたい半年が経ちました。
前回のマネジメント関連記事がこちら。
これができて良かったなぁ、と自己満足ながら良かったことを振り返りたいと思います。
Good 1: なんでも情報共有
とにもかくにも情報共有です。
出来る限りこなせたかなと思います。
マネージャーというのはただの役割に過ぎなく、チームは平等なので、
マネージャーだけが知っててチームメンバーが知らない、なんてことはできるだけ作らないのが良いと信じています。明日私が死ぬかもしれないし。
1-1. 朝会の内容まとめを投稿
朝会で各人のタスクをその日のインタビュアーが聞いて、
それをSlackにまとめて投稿する形にしました。
(以前の組織では、各人が順番に発表する形でしたが、私の場合、自分の番が回ってくると頭が真っ白になることがよくあったので、話しやすいインタビュー形式をとりました)
Slackにチームタスクを投稿するのは、周囲からの反応が良かったです。
各チームが何をしているのかわからなくなっていくのは上の人ほど抱える不安なので、Slackにそれが示されているのであれば不安も減ります。
しだいに他のチームでも、Slackに各人のタスクのまとめが投稿されるようになりました。
周りに広がっていったのはとてもうれしかったです。
1-2. 困ったらチームメンバーに相談
採用などの混み入った話も含めて、「今こういうことで迷ってる(困ってる)けど、どうするといいかなぁ」をチームに相談するのは
いろんな良いことがありました。
みんなからアイディアをもらえて私が助かりましたし、
みんなはマネージャーの視点を持つことが出来ます。
お互いに成長の機会を得るので、これは特に続けていきたいです。
1-3. この人はこれが得意だよ、を共有
採用面接で私とは会っているけれど他の人とは会っていない人が入社してきました。
私は、履歴書を読んでるし面接で話してるから、
「この人は〇〇が得意で、〇〇をお願いしたいなあ」と頭にあったのですが、
それは私の頭の中にあるままでした。
チームにその人がジョインしてきたものの、
なんとなく周りとなじめず、また、得意分野でないところで何度か大きな失敗をしました。
で、これ放っとくと「なんであんなの入社してきたの?」だし「入社させたの?」って感情がメンバーに生まれて、
距離が発生したり大きな不満になったりする(→離職)可能性があるんですよね。
そこで、その人と面接したのは私だけだったことを思い出し、
「〇〇さんは〇〇の分野においてスペシャリストだから、そのことでわからないことがあればなんでも聞いてください」と機会を見つけてメンバーに話しました。
これはよかったと、あとになって思いました。
けっこうエンジニアの得意な分野って異なりますから、(特に現在チームの担当分野がフルスタックに近いものですのでなおさら)
どこが得意なのかを宣伝してあげることで、いいリスペクトのある関係性が結果としては生まれてくれました。
採用の理由をちゃんとメンバーに話すのって大事だと思うので、
次はもっと早く伝えるように気を付けようと思います。
Good 2: メンバーを信じられる
ここ成長しました。
以前の記事で、
信じて任せて感謝する
って書いてましたが、書いてた当時これが全く出来なくて悩みでした。
進捗が気になって、いま何をやっているのか頻繁に聞いちゃうんですよ。
なにか困ってることがあるかを尋ねるのは大事だと思うのでバランスなんでしょうけど、前はけっこうそのバランスが悪かったです。
あんまり介入しすぎるとメンバーの成長を阻害してしまうことがあることを意識し、
以前よりはタスクを一任できるようになったかなぁ……と自分としては思います。
元がおせっかい焼きの心配性だから苦戦するところです。
Good 3: 勉強会、輪読会、KPTなどのチームイベント
- 朝会(毎日10分) - 頭の整理・タスク情報の共有
- 勉強会(45分) - 情報収集能力・伝達能力の向上
- 輪読会(45分) - 知識習得
- タスク振り返り・洗い出し会(30分) - 振り返り・タスク状況の確認
- KPT会(30分) - 振り返り・称賛・改善
といったおおよそ一般的な取り組みが、安定して出来るようになってきているのがとてもいいです。
KPT会から始まり、少しずつ増やすことが出来ました。
勉強会は技術関係なしでもいいことにしていますが、それでもやっぱり登壇者不足しがちです。難しい。
あとは、「なんだか最近仕事ばかりしてるな」と個人的に感じたときに、
不定期で「チームビルディング」と称してボードゲーム会を就業時間内に2時間くらいやっています。
チームで一緒に遊ぶ思い出づくりは、日頃のチームワークに良い影響が与えられると信じています。
今は2ヶ月に1回くらいですが、1ヶ月に1回くらいの定期イベントにしてもいいかなと思っています。(でもどこにも確認取らず就業時間中にやってるので、誰かに怒られるのではとビクビク)
Good 4: 1 on 1 が少しわかってきた
以前の記事を書いた少し後くらいに、
『ヤフーの1on1』という本が良いよと、元Yahoo!の笹子さん(日本エンブレース)に教えてもらって読んだら、すごくためになりました。
まだまだ出来ているとは言えませんが、1 on 1 にどのように取り組めばいいのかわかって、以前よりは行いやすくなっています。勧めてもらってとても感謝しています。
とは言えしっかり実践できているとまだ感じられませんので、繰り返し読むことが大事だと思います。
Good 5: 納得できないことは交渉する
1度だけ納得出来ないことがチームに要求されたことがありました。
そもそも入社時の労働条件にはないことでしたから、それを強要されるなら私だったら会社辞めるな……ということなので、
これについてはチーム会議を開いて全員の納得できるラインを聞き、労務方面と対価など交渉しました。
その結果、当時のチームメンバーの妥協ラインはなんとか押さえられる物になってよかったです。
この部分ができるのってチームマネージャーなので、
いくら会社としてやらなくていけないことであっても、労働に直接響くところの変更を
チームの合意無しで進めるようなことは絶対におこなわないように今後もしなければと思いました。
1回決まったことはそのまま続いていって、全員が苦しむことになりますからね……。
Bad 1: まだ面接が苦手
面接が上手く出来ている気がしません。
相手の本質とか技術力を測ることが全然出来ていないんじゃないかなぁ、と私としては思います。
あと、わりと緩めに通してしまう傾向があります。
採用はリスクマネジメントってこの本に書かれていますから、
もっと慎重になるべきなんですけどね。
会社の仕組みとして一次面接が人事で二次面接がチーム、という形だったんですが、
一次面接に出席させてもらうようにして、
人事の横で上手い面接を学びやすく、かつ、面接に参加する回数を増やせるようにしたのですが、まだまだですね……。
上手なエンジニア採用面接をどうやったら学べるのかもわかっていなければ、
どうやったら上手くなったと言えるのかの分析もわからなくて、
ここは今後も苦しみそうです。
Bad 2: マネジメントしてるようでしてない
なんだか最近チームが上手くまとまっちゃって、
チームメンバーも自分で考えて動いてくれる人が多いので、
最近はそこまでマネジメントがんばってる感はないんですよね。
良くない兆候(タスクの粒度が大きくなってしまっている傾向や、他のチームとの絡みが少なくなっているなど)があったらKPTで提案して微小な軌道修正はしていますが。
安定してるのは良いこととも言えるのかもしれませんが、
なんだか何か大事な欠点を見落としているのではないかとも不安になる日々です。
それはそれとして、面接と 1 on 1 はまだ上手くできてる実感がないので学んでいかないとですね。
Bad 3: タスク管理の最適解とは
「これが最高」がないのがつらいところです。
今はホワイトボードで物理カンバン管理をしているのですが、
これは利点も多くて、すぐ目の前に自分の Doing が見えるので自分が何をしなきゃなのかすぐ思い出せる。
タスクの追加がおこないやすいし、追加されるときはみんなの目に留まる。
ToDo や Doing がいっぱいになってることがひと目でわかるので、タスクの洪水を防ぐ危機管理が行いやすい。
他のチームの人も、通りかかるとホワイトボードが見えて「こんなことやってるんだ」がわかりやすい。
などなど、いいところがある一方、
会社の外にいると見られない。
詳細は書きにくい。(付箋のスペース的に)
Done をオンラインログに残すために転記が必要。
などのネットでないゆえの問題もあります。
これらの解決法として、
大型ディスプレイを置いてそこに常時 Trello や Wrike などのボードを表示しておくという手法があるのではとも思いますが、
コストが張る問題や、それを表示するためのマシンはどうするの、などの問題が……。
同じ課題を抱えていたのか、Google が Jamboard という電子ホワイトボードを作ったのは大変おもしろいなと思います。
しかしお値段なんと64万円と、これもやっぱりコストが・・・(笑)
Googleのスマートホワイトボード「Jamboard」がついに発売、どんなことができるのかが一発で分かる新ムービーも公開 - GIGAZINE
私達は理想的なタスク管理手法を手に入れることができるのでしょうか……。
おわりに
幸いにも「良いチームだ」とメンバーから言ってもらえていてありがたいことですが、
じゃあ逆に「悪いチームだ」とメンバーが直接 1 on 1 で言ってきてくれるかと言えば、必ずしもそうとも思えないので、
どうすれば悪くなるかを引き続き考えて注意しながら、
気を緩めず進行していければと思います。
エンジニアマネージャーは、
マネジメントの勉強をしつつ、
社内全体の変化に過敏であり、
チームがつらい状況になっていってないか気にし、
チームメンバー個々人が成長できる機会を得られているか気にし、
かつ自分自身がエンジニアとして錆びつかないよう家での学習も欠かさない、
と、書き並べてみるとやること多くておぞましいし、実際、全然全部はできていないですが、
バランスよくこなしていけるようになりたいと思います。自分としては楽しいです。
おしまい!