【採用、そして評価制度】scouty x HRBrain の勉強会に参加してきました!
きたぞ!!! #scouty_hrbrain pic.twitter.com/Cm8UN6sMld
— ハトネコエ (@nekonenene) 2019年3月15日
というわけで、scouty さん*1と HRBrain さん共催の、こちらのイベントに参加してきました!
【scouty × HRBrain】HRTechベンチャーが語る自社採用、目標・評価管理の成功と失敗
今最高にイケてる(ハトネコエ視点) HR Tech 企業2社のゴールデンタッグです。最高ですね。
会場はいっぱいになるかなと思いましたが意外と参加者は少なかったです。15人くらいかな。
しかし、 sli.do で質問を受け付けていたら、
かなり多くの質問が集まって、すべての質問に答えきれないくらい盛り上がっていました!
sli.do で質問を受け付ける勉強会、他にも何個か参加したことありますが、
そんなに質問って集まらないんですよね。
質問が集まりすぎて、予定していたタイムテーブルと大きく変わって
19:50〜21:10 までずっと質疑応答の時間みたいになっていました(笑) 楽しかったです。
1. 登壇者紹介
モデレーターは HRBrain の大森さんが担当してくださいました。イケメンですね。
話の流れを意識しつつ、うまく質問をどんどん拾っていってくださいました。
うお、めっちゃぶれてる。ごめんなさい。
スピーカーは左から scouty の千田(ちだ)さん、 HRBrain の中野さんでした。
2. リファーラル採用の話
2-1. 「全員が採用担当」の意識作り
まずは採用の話。
scouty さんは 40% がリファーラル、40% が自社サービスである scouty を使用しての採用とのこと。
scouty さん自身も scouty を活用しているんですね(笑)
scouty さんも HRBrain さんも共通して意識しているのは、
人事が頑張って採用するというよりは、 全員が採用しようというマインド とのこと。
これは以前書いた採用失敗談の記事の『4-2. リファーラル意識の薄まり』の逆ですね。
では、そのために何をしているかと言うと、
scouty さんの場合は、良い会社にするのがまず一つ目に取り組むべきところである、とのこと。
「良い会社」の定義は glassdoor の評価軸が参考になるとのこと。
- 友人に勧めたくなる
- 経営者が信頼できる
- 事業の将来性に期待できる
の3軸ですね。
もう少し詳しいところは、千田さんの書いたリファーラル採用に関する記事の
『メンバーロイヤリティ(動機づけ軸)』のところをお読みください。
「友情」が崩れないことを大切にするため、
リファーラルでの候補者の選考には紹介者を一切関与させないことを明言する、などと心揺さぶられることが書かれています。
「全員が採用担当」のマインド形成として、他には「全員でやるぞ」って上の人(経営者)がみんなに言う、っていうのもありました。
すごく素朴なやり方のようで、私はこういうのは大切だと思っていて、経営者はみんなにどうしてほしいかを常に発信できると良いと思っています。
それによって、何が期待されているかを社員は知ることができるし、経営者のなってほしくないネガティブな企業文化になってしまうことを避ける効果もあると思います。大事です。
scouty さんは月の売上が一定数を超えると全員の給与が上がるという制度を設けており、
採用がその人の給与を上げることにつながる(紹介した人が採用されることによって事業が伸び、結果としてみんなの給与が上がる)ということが伝わるといい。というモチベーション作りもおこなっているようです。
中野さん「リファーラル報酬というのが最近は一般的になったので
とりあえずで導入してしまう企業も多いけれど、
まず、どう嬉しくなるかなどが社員に伝わるよう、動機付けの設計をするのが大事」
ちなみに scouty さんはリファーラル報酬を設定していないそう。意外!
「友人がいい会社(scouty)に入って幸せになってもらいたい」というモチベーションで行動してもらえるようにしているとのこと。
2-2. リファーラル採用に関する質問
Q. エンジニアって、どういうモチベーションで誰かを採用するんだろう?
私の書いた質問です。
「どういうモチベーションでリファーラルするんだろう?」って文章が正しかったですね……。
大森さん「エンジニアは常に人手が足りていないので、良いエンジニアを入れることでもっとプロダクトを成長させたい! というモチベーションを持っていると思います」
Q. リファラルとか全員で採用活動ってなったら、そもそも「人事部」の存在って本当に必要なのか?
肝心の登壇者の回答を覚えていないんですが、この質問おもしろいなあ、と思って取り上げました。
私としては、そもそも人事の活動は採用だけでないってところがあるし、
「採用」に絞ってみても、中長期的な採用計画を全員が考えられるかと言うとそこは専門がいた方がいいし、
採用者の受け入れをどうするか、とか、リファーラル文化の浸透とか、採用イベントの企画とか、Wantedlyなど媒体の運用とか、
やれることは多いので、ある程度の規模の会社ならやはり人事は必要かな、と思います。
Q. リファラルとその他採用で、パフォーマンスや定着の違いはありますか?
これもおもしろい質問ですね。
リファーラル採用での候補者は「事業ビジョン」でなく「人」で会社を選んでしまっているので、定着が悪いのではないか? とか、
リファーラルだと選考基準が甘くなってしまうのではないか? という懸念からの質問だと思います。
千田さん「リファーラル採用での候補者も、選考のプロセス自体は変えていなく同じ基準なので、パフォーマンスや定着については変わらない感触です」
3. 評価制度の話
3-1. 1on1 のあり方
HRBrain さんでは、自社サービスの HRBrain を用いて、 1on1 管理をおこなっているそう。
1on1 の際に、1on1 をする両者がメモを取る仕組みになっていて、そのメモはお互いが見られる。
これによって、話したことの受け取り方の違いが発生している場合に気付ける効果がある。
会場からの質問では、「1on1 で話した内容が記録として残るのは、1on1 の心理的安全性が下がりません?」というものが出たが、
いちおうこのメモは、1on1 の両者間と、あとは役員陣のみしか見られないものになっているそう。
個人的には、社内で共有されると思うと
けっこう 1on1 で話すことを自分の中で制限しちゃうかもなぁとは思いました。
「メモに残してもらいたくない内容は『ここはオフレコで』と言う」とか明文化されてると少しやりやすいかもしれません。
メモを残すこと自体は良いと思うので、気持ちよくおこなえるための合意形成が大事になってきますね。
1on1 は頻度を多くやって、被評価者に短いタームでフィードバックを返せることが大事で、
仮に成績が悪いとしたら、「これ出来ていないよね」を早めに伝えることで、
期末時の査定が被評価者から見て「なぜか低い!」という驚き(ネガティブサプライズ)を起こさない効果がある。という話がありました。
1on1 についてはちょうど先月記事を書いていますので、そちらも見てもらえると嬉しいです!
3-2. マネージャーのあり方
中野さん「自分が頑張るより、自分と同じくらい出来る人を2人作れたほうがよっぽど素晴らしいよね? ってのを昔から考えています」
育成に先行投資をしよう、という話がありました。
1on1 はそのための1つの活動ですね。
しかし育成で難しいのは定性的評価、つまり、何が出来る状態なら育成完了したと言えるかの部分。
HRBrain の中野さんは、育成の完了状態を「自走できる状態」とし、
「上司に確認せずとも、上司がやってほしいと思っていることを勝手に自分でやれる状態」と定義しています。
たしかにこの「自分で判断できる状態」になるまでってけっこう時間かかりますけど、
それが出来ると一気に業務がスピードアップしますよね。育成大事ですね。
HRBrain のおもしろい点として、目標を共有する設定にも出来るそう。
成果を出す人というのは得てして、やるべきことが明確化されているため目標設定が上手い。
というのが中野さんの話で、目標設定を共有することで、
上手い目標設定を見ることができたり、マネージャーに将来的になりたい人がマネージャーがどういう視点で考えているのか見られたり、
学びの効果を得られると話していました。
なるほど、現在うちのチームで目標設定を共有しているのは
「他の人がどういう目標を立てているのか知って、全員が目標達成をできるよう支え合ってほしい」という願いでしたが、
そういう効果も望めるというのは考えていないところでした。良さそうです!
全社的に目標設定を共有したくなりました。
3-3. 10段階評価
HRBrain さんでは事業目標の達成度と、会社のバリューの体現の2軸を 5:5 の配分で評価しているそう。
昔は5段階での評価でしたが、5段階だと被評価者が4点をつけたときに評価者が3点とは付けにくい気持ちになる(20%違うので)問題があったため、
ざっくり5つに分けた評価基準をさらに2分割した10段階評価にすることで、点数を付けやすくしたそう。
このスライドには載っていませんが、
「チームにポジティブな影響を与えるほど体現している」や「体現している」の具体例がそれぞれ数個示されていると、
点数付けはよりおこないやすそうですね。
点数付けは被評価者も評価者も頭を悩ませるポイントですので、
基準は詳しければ詳しいほど良さそうです。
4. ふりかえって
聞いたことのなかった考え方もありましたし、質問がたくさん飛んでとてもいい会でした。
質問がありすぎて、スライドが用意されていたのですが、ほとんど使われませんでした(笑)
途中途中で参考資料として使われたこのスライド、
おもしろい情報も載っているので「公開してほしいな〜」と聞いてみたら、
後日メールで案内されるそうです。わーい!
届いたらここにも貼り付けようと思います。
さて、connpass での応募時にも書いた、とても気になっていた疑問がありました。
Q. 人事自体の目標管理ってどうすればいいですか?(採用人数をKPIにしてしまいがちだけれど……)
これに対しての中野さんの回答は、
「人事は組織のパフォーマンスアップのために人を適材適所にあてるのが一つの仕事。
だから例えば、適材適所にあてるための施策を作る、というのは一つの目標設定になりうるのでは」という話でした。
なるほど、と思いつつも、じゃあその施策の良し悪しはどう判断するのか? とか、施策を作るだけ(アウトプットが見えるものだけ)が人事の仕事なのか? とか、
定性的で納得感ある評価をおこなう観点では、まだまだ考えられるところはありそうです。
千田さんがめちゃくちゃ回答に窮していましたけど、実際これは、そうとう難しい問題なんだなあと思います。
もしかすると、総務や人事といった、業務範囲が多岐に及ぶ業種の評価に
目標設定(MBOやOKR)を使うというのがふさわしくない可能性もあります。
必要な業務スキルを書き出しておいて、評価時はそれらのマスター度をスコアにする成長評価とか、
360度評価を使うとか、そういう考えも全然あると思います。
『制度をリリースしたあと、社員からどんなポジティブ・ネガティブな声が出て、それをどう軌道修正をしていくかの方が大切』と、
『デキる人事はどう動くのか? 人事のプロが語る、強い組織のつくり方』の記事でも触れられていますし、
評価制度に正解がないことは常に意識しつつ、
現場にとって今なにが最良か考えながら、評価制度をプロダクトのごとく常にアップデートさせていきたいですね!!
*1:2019年春より、社名およびサービス名が「scouty」から「LAPRAS」に変わります https://thebridge.jp/2019/03/scouty-is-gonna-be-a-lapras
1on1 で何を話すか?
マネジメント系の記事を書くのってけっこう久しぶりなんですね。
【過去の】
- https://hatone-hr.hateblo.jp/entry/yamenai-saiyou
- https://hatone-hr.hateblo.jp/entry/what-needs-engineer-manager
- https://hatone-hr.hateblo.jp/entry/engineer-managers-log
私としてはリーダーをやってもらいたい方がいたので、
2月にリーダーのポジションはその信頼できる人に託し、
あとは困ったことがないか時々聞く隠居の身となったのですが、
1年やったまとめとして書いておきます。
でも基本的には、『ヤフーの1on1』を読むのが一番わかりやすいです(笑)
たまに読み直さないと忘れてしまうのですが、ここには大事なことが多く書かれています。
ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法
- 作者: 本間浩輔
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/04/28
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以下は、私個人の考えを多く出しています。
『ヤフーの1on1』では 1on1 の目的を「部下の成長のため」と定義づけているので、
のっけから異なっています。
1. 1on1 はどうしてやるのか?
一言で言うと お悩み相談室 です。
お仕事に集中できるように、障害は私が取り除くよ! というわけですね。
マネージャーってチームに対しては奉仕種族でいるのがいいですね、たぶん。テケリ・リ、テケリ・リ。
でも、大事な問題があります。
あなたは悩みを相談するのに値する人なのでしょうか?
この問題を解決するために、あなたは「赤の他人」から
「信頼できる仕事仲間」にまでステップアップしなければいけません。
2. 日常会話をしよう
すごく簡単ですね。
「週末どうしてた?」みたいな。
これすら相手が言いよどむようなら、相手からの信用はまだ得られていないので、
お悩み相談どころではありません。
もっと相手のことを知って仲良くなりましょう。
と言ってもそれがけっこう難しかったり。
専門の書籍に頼りましょう……。(下記の本は読んだことありませんが評判良さそう)
- 作者: 岩崎一郎
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3. 相手の話をよく聞こう
会話に割り込むのやめましょう!
たまにそういう人いるので最初に……(笑)
1on1 に限りませんが、相手が永遠にとめどなく喋り続ける人でもない限り、
相手の言葉を切って話し出すのはやめましょう。
「人の話を聞かない人」という印象を相手に与えます。
相手がひと通り話し終わったあとに一呼吸置いて「なるほど…」と返すくらいが、
1on1 の会話としてはちょうどいいくらいです。
また、あなたが何か質問して相手が答えを考えるときも待ちましょう。
30秒くらい無言の時間になることもありますが、放送事故とかはないので、
口を挟まないように気をつけ、ゆっくり相手に考えてもらうようにしましょう。
1on1 の場では、障害解決のために相手の問題解決能力を高めるのも大事なので、
熟考の機会を阻害してはいけません。
問題解決のために熟考する習慣を作るのは、相手にゆくゆくはリーダーを任せるためにも大事です。
(全員がリーダーになり得るようなチームになっておくのが大事ですからね!)
4. 自分の悩みを相談しよう
悩みを相談するというのは、「あなたを信頼していますよ」という気持ちの表れです。
あまり悪い気がするものではありません。
ですので、こちらからも悩みを相談しましょう。
特にチーム作りに関する話などがいいです。
これは上の話とつながっていて、相手にゆくゆくはリーダーを任せるために、
「あなたがリーダーだったらどうするか?」という趣旨の質問を投げかけられるからです。
例えば、「今期のマイルストーンにこのタスクを含めるか迷っている」だとか「チームみんなの給与を上げるにはどうすればいいんだろうね?」とか、
リーダーになったら考えるようなことを投げかけてみてください。
相手も一生懸命考えてくれ、視野になかったアドバイスをくれるので、
お互いの成長のためにもこれは有意義です。
5. 相手の顔を見よう
メモを取るのに夢中になって、話してる相手の顔を見ない人がたま〜にいますが、
これは「何も話を聞いてくれない」印象を強く出してしまうので避けたほうがいいです。
とはいえ、メモを取らなかったばかりに 1on1 の内容を全て忘れるようでも
それこそ何も話を聞いてないのと一緒になってしまいますので、
メモは 1on1 のあとにササッとまとめるか、「1回ちょっとまとめていいかな」と相手に断ってPCに打ち込むなどするといいと思います。
6. 相手の悩みには必ずアクションをとろう
相手が今困っていることや悩んでいることを相談してくれたとしましょう。
それだけの信頼は得られているということです。幸せものですね。
ことの大きさによっては相手に「相談してくれてありがとうございます」と言ったほうがいいですね。
さて、せっかく悩みを話してくれたのなら、
相手に「結局この人は何も解決してくれない」と落胆させないよう、
出来るだけの行動をする必要があります。
行動する前にはまず、問題の本質を知らないといけないので相手の話を深く掘り下げましょう。
ここは『ヤフーの1on1』の第1章を読むのが一番よくわかりますのでそちらに譲ります。
問題に対するアプローチが見えてきたら、「じゃあこうしましょう」という話になると思います。
それは、相手だけで解決できる問題かもしれませんし、
あなたが別の人に話しかけないと解決できない問題かもしれません。
あなたの行動を必要とする解決法であるなら、あなたはすぐに行動し、
そしてそのアクションをすぐに逐一、相手に報告しましょう。
解決に至るかまではわかりませんが、その行動が、
相手の次の悩み相談のしやすさにつながるので、大切にしてください。
7. その他の話
上では「悩み相談」の部分にフォーカスしすぎましたが、
今後のキャリアをどうしたいか はそれとは別に話しておいたほうがいいですね。
相手の今後の成長のためにも、マネジメントのためにも。(タスクの割り当てとか、長く会社にいる予定かの予測のためなど)
「まだわからない」って答えの人も多いと思いますが、それならそれでいいと思います。
そんなにすぐ見つかるものでもないので、
1on1 で適当な決め方して相手の視野を狭める必要はなくて、
「今はどういうことしたいか?」の漠然とした希望があるかだけ聞ければ充分だと思います。
あと、1on1 に関する記事で「1on1 はタスクの確認をするところじゃない」なんて書かれ方をしているところがあって、
まあ、それももっともなんですが、今やってるタスクの話から悩みの話がふっと湧いてくることもあるので、
特に日常会話が思いつかなければタスクの話とかしていてもいいと思います。
8. 1on1 の場所
「会議室が取れない問題」というのがあります。
でも、本当に会議室でやらないといけないのでしょうか……?
私の場合、1on1 を受ける側だったとき、
会議室でやると圧迫された雰囲気を感じて話しにくかったことがあります。
1on1 は話しやすいことが一番ですので、必ず会議室という必要もないと思います。
たまには会議室以外の、あまり他の社員に話を聞かれないような場所で話してみるのもいいかもしれません。
Yahoo! の場合ですと、喫茶店での 1on1 は経費で落ちるそうです。
2杯のコーヒーで1000円くらいですから、あらかじめ経理と相談してその方向で行けるか検討してみるのもいいですね。
9. おわりに
というわけで、1年のリーダー経験を踏まえてわかってきた 1on1 の話でした。
やっとわかってきて言語化できたのはよかったんですが、
最初に書いたようにリーダーを託したのでもう 1on1 をしないという問題が……(笑)
くだらない話が好きすぎて、
日常会話で 30 分を終わらせていることも多い私ですが、
ここで書いたことをもう少し意識すると良いんじゃないかなと思いました!
悩みを相談するのに値する人でいたいですね。
Hacking HR! #2 に参加して採用業務の失敗を聞いてきたよ
会社にとって 一番大事なもの ってなんでしょう?
間違いなく 採用 です!
ろくでもない人を雇うと、周りと衝突を起こしたりマネジメントコストが増えたり、
疲れて周りの人が辞めていったり……とまあ、ろくなことになりません。
そんなろくでもない人を部長職にでもしちゃおうものなら、
部単位でどんどん人が辞めていくし、ろくでもない部長がろくでもない人を入社させてしまうのでまあ簡単に会社が腐っていきます。
一人辞めると一人採用する必要があるわけで、それにかかるコストは
エージェントに支払う金額だけで 200 〜 300 万円ほど。(それ以外に掲載費用などもかかるわけですが)
会社の人材の質が下がるだけでなく実質的な費用もかかるので、
採用は本当に気をつけないと、すぐに大変なことになっていきます。
(そういえば昨年こんな記事を書きました)
0. Hacking HR! #2 に参加したよ
さて、前置きが長くなりましたが、
そんな採用に関するおもしろそうな勉強会を発見し、参加してきました。
Hacking HR! #2 です。
スタートアップ企業の人事の勉強会で、特に採用に関してのテーマでやっているようです。
今回のテーマは『実録!「採用」業務の失敗談』
いいですね、このテーマだけであと5回くらいはできるんじゃないかって気がします。
会場は Repro さんです。
トイレにミューズ泡ハンドソープが置かれていて、
「わかるわ〜、ビル備え付けのハンドソープって全然泡立たないよね、置くよね」って思いました。
(私の勤めてる会社にも置いてある)
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1. scouty 伊藤さん (@tetsuyaito_2)
「合否判断が分かれて気付いた! 採用要件の明確化がもたらした2つの価値」
トップバッターは最近サービスが正式リリースを果たしました scouty さん。
(今までのってオープンβ版だったんですね)
scouty さんは 3〜4ヶ月前にお話を聞きに行ったばかりで、おもしろい人事制度をしているな〜と感じている企業さんです。
まさにこのイベントタイトルの「Hacking HR!」って会社ですね。
そんな scouty さんで起こったのが、営業を雇うにあたって
メンバー間で判断が分かれたこと。
じゃあどうしたかと言うと、採用基準をもっと明確化しました。
超詳細な採用基準 です。
「なになにをこうやったことある」「こういう環境でこれをやったことある」といったファクトベースに基づいた、
解釈が人によって分かれないような採用基準を、
細かく細かく超詳細に落とし込んだそうです。(その項目リスト見てみたいですね!)
その結果として、採用すべきかの判断にかかる時間を少なくすることができたばかりでなく、
リファーラル(知人採用)がおこなわれやすくなりました。
どういうことかと言うと、採用要件が非常に明確になっているぶん、
「じゃあこういう人が合うんだ」と社員も理解しやすいので、人を連れてきやすくなるということです。
結果、月におこなわれた50件の面談のうち、採用担当由来の面談は13件、
つまり 70% 近い 37 件がリファーラルを元とする面談となったそうです。マジで?! すごい。
なお、scouty さんは採用候補者と社員全員がご飯を囲むのですが、
その際、全社員が書くその人に関する判断のチェックシートも非常に細かく項目があるそうですよ。
2. ナーブ 大野さん
「5回転職し6社で採用に関わって感じた、採用を失敗させる共通要因」
VR系スタートアップのナーブに勤める大野さんが、現在までの経験談を語ってくれました。
ご本人さんによるまとめ記事はこちらです!
やはり多いのが、そもそも離職する組織構造になっている場合。
「とりあえず人が足りないから採用しよ」と採用を走らせたところで、
組織に問題がある場合は底の空いた桶に水を注ぐようなもので徒労。
採用するのであれば、
- 候補者をどうアサインするか決まってるか?
- 候補者が入社の時点でやるタスクは変わらないか?
→ 〇〇という技術が得意な候補者を、〇〇を使う△△プロジェクトに充てようと採用したが、入社時には△△プロジェクトが無くなっていた、というケースがあったらしい……
→ 〇〇をやりたいと思って入ってきた人は当然すぐ辞めてしまうし、悪い噂につながる - タスクが誰かに行きやすいような組織構造になっていないか?(タスクマネジメントが出来ているか)
→ 即戦力と言われたメンバーが必死で数々のタスクを巻き取っていたケースがある
→ よほどの超待遇なら別かもだが、ふつうは高負荷でつぶれて病み、会社に来なくなる
などを確認しましょう。という話をしていました。
いずれも当たり前の話ですが、
「どうアサインするか決まってるか?」は、けっこう見過ごしがちなポイントなので要注意です。
「いま人が足りていないんです、忙しいんです、だから少なくともあと○○人はください」という
現場の声をそのまま人事が受け取って採用すると、
(大方そういう場合タスクマネジメントが機能していないので)結局なぞに忙しいままだったり、ヒマになる人が出たり、
あまり良い結果につながりません。
最終的な解決はそのチームやその上長の手でおこなうとしても、
「○人欲しい」の要望に対してそのまま受け取らずに、
「それはどうして?」「どういうタスクをやってもらうの?」などのヒアリングは
人事として大事な仕事と言えるでしょう。
3. Speee りゅっくさん (@_kei_y_)
「元マーケターが採用で失敗した話」
こちらで記事にしてくださっています。ありがとうございます!
マーケターをやっていたので、つい、数字で見ればいい! と思って行動したところ、
広告業界と違ってユーザーまでの距離が近いので、相手の個人の人間としての気持ちの動きを見るのが大切 という結論に落ち着いたという話でした。
(例えばエンジニア採用で、人事からスカウトメールを送るよりも、エンジニアからスカウトメールを送るほうが、相手が心を開いて返信しやすいはず、などの心理的部分に着目するのが大事)
スカウトメールを送った際の遷移率(離脱率の逆。何割の人がメールから面接に至ったか、一次から二次に至ったかなどの値)を求め、
そこから募集人数を採用するために必要なスカウトメールを送信し……とやったところ、
質より量になってしまいスカウトメールが低質なテンプレ化。
返信率は下がってしまった、という苦い思い出を話されていました。
一方で、会場からは
「大企業の新卒採用のような母集団がでかい場合には、マーケティング的な発想が効くかもしれない」という案も出ました。
懇親会では、昔、私がエンジニア組織推進室(現在のものづくり組織推進室……ですよね?)の渡邊さんとお会いしていたので、
渡邉さんがプロダクト推進室に異動になり、りゅっくさんが6月にものづくり組織推進室へ異動になるまでの顛末などおもしろく聞かせていただきました。
渡邉さんとの話で、「エンジニアは極論、ネットですべてが完結してしまって会社で働く必要がない。
それならエンジニアに来てほしい会社はどうすればいいか、ネットとの隔たりを出来るだけなくしていく」という思考の元、
社内で勉強会・ミートアップを人事主導で間髪入れず開催したり、
有名なエンジニアと会社で会えるようにしたりなどの施策を意識した。
という話は、1年前の面談での会話ながら今でも印象に残っています。
4. キュービック 森實(もりざね)さん
「組織拡大後に気付いた採用の失敗」
採用コンサルタントとして活躍されている森實さんです。
ITベンチャーにジョインし 30名から 300 名への組織拡大に携わる一方、それにともなう失敗も経験されたそうです。
4-1. 「〇〇さんと働きたい!」戦略の失敗
入社当時の会社は小さく、知名度が低く、給与が高いわけでもなく、採用で勝てる要素が少なかった。
そこで、「ざねさん(森實さん)と働きたい!」と言われるような状態を作り、
候補者の意欲を上げるために、自分の露出を増やしていったそうです。
その目論見は成功したものの、
会社規模が大きくなっていったときに組織がまとまらない問題が出てきました。
- Philosophy:会社の理念
- Profession:仕事内容・プロダクト
- People:人・社風
- Privilege:給与
組織の束ね方の 4P のうち、「この人と働きたい」という個人を推し出す採用の結果、
Philosophy や Profession の部分、つまり会社自体に魅力を感じて働く人が少なかったことに気付いたのです。
会社はその後、理念の浸透のために会社スローガンの作成をしたり、
でもスローガンは結局浸透しないので、社員にテストしたりと迷走したそうです……。
(当然、テストは「軍隊の洗脳みたい」と社員から大不評だった)
4-2. リファーラル意識の薄まり
もともとは 「採用や広報はみんなでやるもの」 という意識が社内にちゃんとあったのですが、
30名だった会社が100名になる頃にはその意識がすっかり無くなり、
現場は「人事がなんとかしてくれる」と思うようになり、リファーラルの文化が消滅(!)
リファーラルプロジェクトを発足させたものの、
マインドセットを取り戻すのには苦労したそうです。
人事だけががんばっていると、思考レベルでみんなから採用意識が無くなっていくので注意。
これ、カヤック社のぜんいん人事部化計画を思い出しますね。
「ぜんいん人事部化計画」「エイプリル採用」カヤックのユニーク人事を支えるたった1つの問い - ログミーBiz
4-3. 「多様な価値観」問題
「多様な価値観を持った人を採用したい」という要望通りに採用していたら、
たしかに良く言えばいろんな人がいる会社になったのだが、
会社のカルチャーは薄まり、組織の結束力が弱くなってしまったという話。
多様な価値観という言葉は聞こえは良いけれど、
「私達は何をしたい集団なのか」の答えとなるような人材を集めることが本当は大切なこと。
だから、「多様な価値観を持った人を採用したい」に対しては下記のような質問に対する
答えを持ち合わせたほうがよい、というお話をされていました。
4-4. 福利厚生訴求採用の失敗
「福利厚生」が並んでるといい会社に見え応募者が増えるので、
職場に猫とかありとあらゆる福利厚生を求人票に書いていたそうです。
しかし、それで応募してくる人は会社に対して
「ホワイトな会社!」というイメージを強く持ち期待値が上がってしまうため、
(実際はベンチャーで土日出社もあるところだった)
少し何かあったときに「ホワイトじゃないんですね……」と裏切られた気持ちにさせてしまうことが起きたそうです。
あまり応募者の期待値を上げすぎてしまう求人票もそれはそれで良くないようです。
(ところで、「ベンチャーだから深夜残業や土日出社は当たり前」みたいに言う会社をたまに見ますが、やっぱ休むときは休んだほうがいいもの作れるんじゃないかなー、と思います個人的には)
4-5. 総括
「応募者を増やす戦術」を考えてしまうと失敗をしてしまう。
「会社がどうなりたいのか」の 戦略を考える人事 が必要だというまとめをされていました。
うちの会社はどこのポジションになっていくのか、競合はどこなのか、
それらの経営戦略を考えて採用に用いていくのが大事。ということでした。
そのためには当然、経営層が関わってくるわけで、
経営層が人事に積極的でないと、採用は成功に至れない という話につながっていくかと思います。
森實さんの講演は濃かったですね。
5. Repro 畑中さん
「口説いたら引かれた ~超えられない壁~」
ラスト! Repro の畑中さんです。主催などありがとうございます。
登壇資料はこちらです!(GitPitch のシェアURLはディレクトリ指定ができないっぽいので直接Markdownへのリンクです)
創業から2〜3年目、坊主と眼鏡のシニアメンバーばかりだったとき、
業務拡大に伴いコンサルを20名くらい採用する必要が発生しました。
その人数の経験者を採用するのは難しかったのでポテンシャル採用も含めた結果、
今度はその人達をマネジメントするマネージャーが必要となりました。
ここまででちょっと失敗してる気もしますが置いておいて、
今回はそのマネージャー採用に苦労した話です。
なんと驚きの圧倒的辞退率:90%!
これには会場の皆さんから笑いが。
ヒアリングをおこなってみると、大きく理由は5つに大別されるとわかりました。
- ビジネス領域の違い
- 経験したいフェーズの違い
- 年収
- カルチャーアンマッチ
- 家族の理解が得られない
1. 〜 3. はどうにもできないとして、
4. と 5. についてはコントローラブルと考え、改善することにしました。
どうも候補者としては、
- ベンチャー企業は結果が全て→悪かったら即座にひどいことになる
- 土日も当たり前のように働かなくてはいけない
- 妻から同様に「全ての時間が会社に取られる」という認識で、「仕事漬けなのに給料下がるし、ストックオプション本当にもらえるの?」などの嫁ブロック
という誤解があるようで、そこを説明。必要あらば奥さんにも説明。
そうして、採用に至れるよう改善していった、とのことでした。
会場からの質問では「口説き文句は?」というのがあがりました。
「『自分は会社のこういう良いところに惹かれて入社したんですよ』を言うと刺さる可能性が高い」というお答えでした。たしかにそうかも……
6. おわりに
懇親会もとても良かったですね。
採用担当の方が多いからなのか話し上手な方が多く、
非常に楽しい懇親会を過ごすことが出来ました。お食事もいっぱいありましたし。
Schoo の武井さんとお話して、適性分析の分野において
Schoo@me (2017/04設立)が大学との共同研究をしている話の子細を伺ったのは、最高に熱くて燃えましたね。
自分らしさを解析して、誰もが個性を活かせる社会をつくる | SchooMembers
まずベンチャーが R&D (研究開発)の子会社を作るって時点ですでにすごいですからね。
何を出してくれるか期待大です。
そして……
Hacking HR! #3 が 9/25 に開催されます!
ハッシュタグは前回同様 #hackinghrs です。
今回は私としては興味あるテーマではないので参加はしなさそうですが、
今後もぜひとも参加したい、とても良いイベントでした。
人事って最高ですね!